お盆休みが終わり、ようやく朝晩は涼しい風を感じられるようになりました。
フル稼働だったエアコンもそろそろお休み。
真夏のピークを過ぎると体も心もホッとしますね

さて、今月のテーマは『読書』
本を読むことは好きですが、私は空いた時間にちょこちょこ読むことが苦手。
読んだらその後が気になって仕方がないので、本を読むのはたっぷり時間がある時にしています。

今回読んだ本は湊かなえさんの"母性"
IMG_20190829_182304
湊かなえさんの本はずっしりと重い話が多く、後味良く終わるものばかりでもないのですが、とにかく心理描写が素晴らしい!「絶対にこの登場人物は好きにはなれない」と思っていた登場人物に思わず感情移入してしまったりすることもあり…、自分のまだ知らない感情に出会える気がします。

この作品は作者の、誰もが「母性」を持ち、「母」になれるとは限らないのではないか。幸せな家庭で育ち、いつまでも愛するあのひとたちの子どものままでいたい、庇護され続けたい。「母」であるよりも「娘」であり続けたい、とどまり続けたい。そう思っている女性も、きっといるはず。
という思いから生まれた物語(ミステリー)。

母親は「愛能(あた)う限り大切に娘を育てる」のだが、娘が欲しかったのは無条件の愛。
いつまでも娘でいたい母親。こうとしか生きられない母親に最後まで寄り添おうとした娘。
愛の矛先が最後まで交わることはありませんでしたが、不思議と最後は前向きな展開が期待できそうなところで物語は終わりました。
これも一つの母と娘、家族の形なのかと。全く新しい、「母と娘」の物語でした。


さて、もう一つは初めて読む作家、川村元気さんの"四月になれば彼女は"
IMG_20190829_182445
本のパッケージデザインが美しく、さわやかな物語かと思い手に取りましたが、こちらは想像と全く違う物語でした。
もう愛しているかさえ分からない女性と結婚を決めた主人公に、4月、初めて付き合った元彼女から手紙が届きます。そこから失った恋に翻弄される12カ月が始まる…。
"母性"は愛の矛先が交わらない物語でしたが、こちらは時間とともに愛がなくなる物語でした。
十代の頃の瑞々しい恋は遠い昔の事、結婚して愛が情に変わる時人はどう相手と向き合うのか。
「恋愛がなくなった世界」、それでも人は1人では生きていけない。
絶望の中ラストにほんの少し希望が見えてきたことがこちらも救いでした。

母と娘、夫と妻、何気なく手にした本でしたが自分に置き換えたら…と思うと2冊とも読むのに結構なエネルギーを費やす本でした。
でもこういう本程、読み応えがある、、、と思うのは私だけでしょうか

引き続き、秋の長夜に読む本を探しに本屋巡りをしようと思います。